過去ログ - 有香「お砂糖とスパイスと、すてきなきもちでできたもの」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/06(月) 22:53:11.24 ID:M9zGaZkXo
 幾分気落ちしていようと、コンディションが悪かろうと、
 積み重ねたものだけは決して嘘を吐かない。
 今日の仕事もトラブルなく済み、事務所に戻った有香は、
 休憩室で少し身体の熱を冷ましていた。

 レッスン続きで覚えたダンスの、初披露だった。
 覚えている限りミスもなかったし、スタッフや共演者の評価もよかった。
 プロデューサーに褒められた時の喜びと興奮を、まだ少し引きずっている。
 ただ、みんな口を揃えて「カッコよかったよ」と言うのだ。
 嬉しいのに、誇らしいことなのに、
 それだけが小さなしこりとなって、有香の胸に刺さっていた。

「……女の子らしさって、どうしたら身に付くんだろう」

 何気なく漏らした独り言に、背後で物音が答えた。
 誰かに聞かせるつもりは全くなかったので、慌てて振り返る。
 半開きの扉の隙間から現れたのは、奈緒だった。
 彼女は申し訳なさそうな顔で頬を掻き、

「ごめん有香さん。アタシ、何かタイミング悪かったな……」
「あ、ううん、別に……奈緒ちゃんも休憩しに来たんだよね?」
「ん、ああ。さっき戻ってきてさ」
「そっか。お疲れ様。あたしが言うのも何だけど、座って座って」

 ペットボトルのお茶を片手に、有香の斜め向かいに腰を下ろす。
 ……妙な空気になっちゃった。
 何となく会話の糸口が掴めず、お互い微妙に視線を合わせないまま一分近くが過ぎる。


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