過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga ]
2013/05/09(木) 21:37:31.21 ID:VkABzR7o0
「……漠然、友人とは。今先、雇うと口にされたのでは」
フィアンマとアウレオルスは、外へ出た。
夕暮れ時、赤い夕焼けは徐々に落ちていく。
やがて地平線を過ぎて消えれば、夜になることだろう。
輝く星々を見ることは決して叶わないフィアンマは、ゆっくりと足元に注意して歩く。
怖々と敬語を使う彼に、彼女はこくりと頷いた。
「ああ。確かに言ったぞ」
「喟然、ならば友人…とは、言い間違いを?」
「違うな。友人になれと言った、これを引き受けるお前に金を支払う。
これは雇う、雇われるの関係で間違いないだろう?」
言い間違いでも言葉違いでもない、と彼女は言う。
アウレオルスは、首を傾げた。
確かに彼に、友人と呼べる人間はほぼ居ない。一人いるか居ないか程度。
しかしながら、それでも友人とは金を支払ってなってもらうものではないという常識はある。
確かに付き合いが長くなれば食事を奢るだとか、遊興費を請け負うなどはあるかもしれない。
チケットをプレゼントしたりだとか、そういった風にお金を使ってあげることは、親しい友人なら。
だが、それは給金という形で与えたり、与えられたりするものではないはずだ。
それは友人とは呼べない関係だ。契約の上に成り立っている関係など、何の意味もない。
「毅然、それは友人とは呼べない」
「………」
不愉快そうに、フィアンマは眉を潜める。
が、アウレオルスは続けた。
「貴方と友人になれるというのであれば、当然、光栄だ。
顧問錬金術師として雇って頂けるのであれば、それもまた。
しかし、その二つは相いれぬものと思われる」
「………」
むううう、とむすくれる彼女は寂しい人間だった。
金と権力、暴力と交渉でしか、人を留めておけない。
それは過去、とある少年と別れた事がきっかけだった。
錬金術師は、穏やかに続ける。
「俄然、どちらかに絞ってくださると言うのなら、」
私は貴女に仕える、友人として接する。
そんな申し出に、フィアンマは少しだけ迷ってから答えた。
「……そうか。なら、……友人になれ」
ちょっと不機嫌なまま、彼女はそう選択するのだった。
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