過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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[saga ]
2013/05/09(木) 21:41:57.79 ID:VkABzR7o0
言葉を止めるアウレオルスに、フィアンマは言う。
「…隠秘記録官は一人ではないし、沢山書いたところで大勢の人が救われる訳ではない」
「………、…」
ローマ正教は、アウレオルスが思うような方針は持っていない。
人々を平等に救う、ということを信条にしておきながら、魔道書は秘匿するのだ。
機密性だ何だと、たくさんの理由はあって。正当性はあって。それでも、残酷な制限。
無駄なことだと思いながらも、それでも毎日魔道書と向き合っていた。
沈黙し、現実を再認識して落ち込むアウレオルスへ、フィアンマは慰めるでもなく言葉をかける。
「だから、休暇を取れ」
「しかし、」
「そして、俺様に付き合え。…何なら、無理やり休職させても良いんだぞ?」
ふふふ、と笑う彼女は魔女の如く。
どうせ権力を悪用するならもっと良い事に使って欲しい、と思い。
アウレオルスはふと、差し出がましいとは思いながらも、彼女の立場を鑑みてこう願ってみた。
「判然、貴女はローマ正教の最上位に君臨する」
「……そうだな」
「…ローマ正教の、魔道書の秘匿性をどうか、」
言いかける彼に、退屈だと言わんばかりの視線がそれとなく向けられる。
「秘匿を解いて多くを救おうとすれば、かえって犠牲者が増える」
「……、…」
「全のために一を切り捨てる。確実な方法だ」
その気になれば、彼女はいくらだってローマ正教の方向性を変えられる。
だけれど、それをしてどうなるか。
二手三手、いいや、更に千手先を考える彼女に見えるのは、破滅の未来だ。
良かれと思ってしたことがどこまでも状況を悪くすることを、彼女は知っている。
「お前の願いは、わからない訳ではない」
クッキーの欠片を指から舐めとり、フィアンマはため息を飲み込む。
「それでも、錬金術のように世界は働かないんだ」
一を犠牲にして一を得られる世界ではないのだから。
残酷な現実を口にして、彼女は以後黙り込む。
彼女だってローマ正教を上手く敷いているのだ、とアウレオルスは口を謹んだ。
きっと、いつか、幸福な世界になる。
そんな未来を目指し、今は自分が出来ることを自分なりにすれば良い。
アウレオルスがそう静かに結論を出したところで、フィアンマは話題を蒸し返した。
「で、休暇の話だが」
「勃然、休暇が何だというのだ」
「明日、お前は休みだ。俺様に付き合え」
「…ちなみに、付き合うとは何をすれば」
不可解そうに眉を寄せるアウレオルスに、フィアンマは先程の施政者としての顔を捨てて言った。
「そうだな、エスコートしてくれ」
要するに、デート<ひまつぶし>のお誘いなのである。
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