過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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301: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/05/26(日) 18:12:33.26 ID:UGVpjnff0

恐怖など無かったのに。
フィアンマは、自らの瞼に指を当てたまま、えぐることが出来なかった。
彼がせっかく褒めてくれたものを、ぐちゃぐちゃにすることなど出来なかった。
ひんやりと首元、肌に感じるのは、彼から貰ったネックレスの感触。

フィアンマは、静かに項垂れる。

ギィ、と。
ふと、扉がゆっくりと開いた。

「…誰だ」
「後方のアックアである」
「……お前か」

涙はとうに消えている。
顔を服の袖で拭き、よろよろと立ち上がった。
アックアはフィアンマの剥がれた爪や血液の散らばる惨状に僅かに眉を潜め。
それからテキパキと代わりに掃除をしてやり、彼女の細腕を掴んだ。
聖人の力でもって(彼女の実力的にありえないが)折ってしまわないよう、注意しながら。

「酷い怪我である。治療が必要だ」
「…わかっているさ。自分で歩ける」

アックアの手を払い、フィアンマは歩き出す。
じんじんと痛む手からは、ぼたぼたと血液が滴っていた。


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