過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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35: ◆2/3UkhVg4u1D[saga ]
2013/05/12(日) 14:59:18.92 ID:FBioGnLx0

ぽたぴちゃ。

腰掛けていた椅子に置いていた彼女の手の甲に、水滴が落ちる。
雨の中全力疾走してきたのか、とフィアンマは首を傾げた。
ちなみに、待ち合わせ設定時刻から一時間程過ぎている。

「騒然、目が覚めたのが…。…二時間前だった」
「ほう」
「俄然、支度は順調だった。外へ出て、早速向かおうとしたのだ。
 …だが、生憎同僚に呼び止められ、資料について質問を受けていた。
 そうこうしている内に時間が経過して、同僚と別れたのが三十分前。
 以後歩いて移動していると、雨が増し、傘が破壊された。
 毅然、代替の傘を探し歩き回り、…時間を浪費した」

加えて電車が遅れたり。
せっかく買えた代替の傘も暴風雨にやられ。

弁解の合間に、彼は数度謝罪を挟んだ。
構わない、とフィアンマは応える。
百年にも感じられる十年間の孤独に比べれば、こんなもの。

「…本当に申し訳な「もういい」」

言葉を遮って、フィアンマは口元を僅かに緩めて言う。

「……それでも、お前は来てくれた。
 俺様とは昨日出会ったばかりなのに、不運に見舞われながらも来てくれた。
 どれだけ遅れようと、来てくれればそれで充分だ。充分過ぎる」

寂寥を滲ませて、彼女はそう言葉を放った。
アウレオルスは沈黙し、かえって罪悪感がこみ上げてきたことを自覚する。

「生憎の雨だ。ここは一つ、外に出るのではなく室内で遊ぶことにしよう」

言いながら立ち上がって。
フィアンマは、アウレオルスを促した。


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