過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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37: ◆2/3UkhVg4u1D[saga ]
2013/05/12(日) 14:59:43.75 ID:FBioGnLx0

この教会は、半分程フィアンマの私物と化している。
どういうことかというと、彼女の別荘的物件なのだった。
隠し扉の向こうは、生活感が少なめな部屋となっている。
アウレオルスは彼女に促されるまま、そんな場所へとやって来た。
どうするべきか迷い、立ち尽くしたままの彼へ。
彼女は奥へ一度引っ込んだ後、タオルをもってきて差し出した。

「……何から何まで」

本当にすまない、と言葉を漏らしつつ、アウレオルスはタオルを受け取る。
清潔感のある乾いたタオルで、濡れた髪を拭いた。
濡れてしまったスーツのジャケットは脱ぎ、ネクタイと共に空いているハンガーを借りてかける。
スラックスは脱ぐ訳にはいかないのでそのままに。
濡れたワイシャツが空気にさらされ、シャツの向こう、透けた肌が異様に冷える。

「……」

ぶるり。

無意識に身震いするアウレオルスだったが、見る事の出来ない彼女はその様子に気付く事が出来ない。
しかしながら、彼の呼吸が浅く早めな事や、シャツを手で摩る摩擦音から何となく読める。

「寒いか」
「介然、問題はない」
「…本当に?」
「……」
「…少し待て」

フィアンマは手探りでチョークを探し。
それから、床に正確に陣を描いた。

盲目のピアニストが鍵盤を弾けるのと同じ。
感覚で慣れてしまえば、術式の行使に視覚は必要無い。

程なくして、空間自体が暖かくなってくる。
暖房は入れていない。暖房代わりが先程の陣だ。
燃える赤<フィアンマ>を名乗るだけあって、フィアンマは特に火の魔術に対して精通している。
温度を変化させることなど、造作もない事だった。


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