過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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52: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/05/13(月) 21:31:52.72 ID:KJCCmY/B0

細々とした声。
常の傲慢な態度や、特殊な一人称からは考え難い様子だった。
こちらが素顔だったりするのだろうか、とアウレオルスは思う。
だとすれば、その面を表に出していれば人に愛され易いのに、とも。

「当然、嘘はつかない」
「…そうか」
「……貴女程の人物ともなれば、褒め言葉等慣れきってしまって世辞と一笑に伏されるかと思ったのだが」
「能力、財力、権力。これに擦り寄る馬鹿は多いが、俺様自身に何かを言う人間はほとんど居らんよ」

愛らしいと言われたのは初めてだ、と口ごもる。
彼女は細い指先で猫の耳裏をかき、その温かさと呑気な鳴き声に表情を和らげた。
物知らずな姫と思って接すれば、別に傲慢な物言いも腹が立たないものである。
そもそもアウレオルスにとっては目上なのだから、失礼なことを言う訳もなく。
かといって友人でもあるのだから、思った事が良い事ならば口にするというのは当然の道理であった。
ごろごろと喉を鳴らして甘える赤猫を愛で、フィアンマはゆっくりと息を吐き出す。

「…お前は、媚を売らないんだな」
「晏然、する必要が特に見当たらない」

友人なのだから、と彼は言う。
少女は薄く笑んで、今はただ、猫を愛でる事にした。



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