過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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540: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/10(月) 22:38:08.94 ID:WfX50zA50


「じゃあ、またな」

今度こそ、無事に空港へと到着して。
上条は、そう軽く二人に別れを告げた。
フィアンマは手を伸ばしかけ、悩み、引っ込める。
そんな彼女の様子に、上条は小さく笑った。

「お幸せに、な」

ほんの少しの寂しさと共に、上条はそう言った。
彼女自身の口から『恋人』という単語が出てきた時。
恋人の話題は自分から言い出したことなのに、ほんの少しだけ苦しくなった。
だが、自分は彼女を救えなかった。実際に救い出したのは、恋人と名乗った彼だろう。
一度目で救い出す事の出来なかった自分が、今更何を出来るというのだ。
 
幼かったから。
力が無かったから。

そんなことは理由にはならない。
一緒にどこまでも逃げようと手を引いて、結局彼女に夢を見させただけの自分は、畜生にも劣る。

彼女は、きっと。
自分と一緒に逃げようと告げられた時。
涙が出る程嬉しかったに違い無いのだ。
あんな暗い場所に閉じ込められ、絶望していた日々に光が射したと。

期待させるだけさせておいて、結局は救えなかった。
自分は、彼女の隣に立つだけの資格が無い。

上条当麻は、最後まで笑みを浮かべたまま、歩き去っていった。


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