過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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565: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/11(火) 22:25:28.78 ID:J05hxd8p0

「記憶も、何もかもがオリジナルと同様のものだろうとは、思うのだが」
「……」
「…ふ、自業自得だ。…あの少年の手に興味を持ってしまったが故だろう。
 天罰か、あるいは…。"好奇心は猫をも殺す"などとは、くく、よく言ったものだ……」
「……なるほど」

フィアンマは、彼の崩れゆく手の甲を撫でる。
基礎物質にケルト十字や実際の物質が色々と混ざっているが、天使の力の塊だ。
人間が溜め込んだにしては異常な量の天使の力が濃厚に封入されている。
いいや、実際には、それは過去のこと。幻想殺しに触れ、削られたのだから。
瞬間錬金などという"結果"を誇った時点で彼らしからないとは思っていたのだ。
本来のアウレオルスであるならば、黄金錬成などの"過程の集大成"を誇るのだから。

「そうか」

フィアンマは、それでも彼を突き放さない。
自分が泣いていることも気づかず、フィアンマは目を閉じて薄く微笑んだ。

「それでも、今宵、俺様はお前と過ごし、愉快で、幸福だった。
 その事実には何の変わりもない」
「…君を騙してしまったな」
「騙されてなどいないさ」

誰も悪くない。
何も悪いことなどなく。
恐らく最初から、こうなるべきで、これが最善の終わり方。

フィアンマは手を伸ばし、後ろ手でアウレオルスの首筋を撫でる。

「お前は、アウレオルス=イザードだろう」
「……、…」

自分の正体が魔術人形であったことに気づき、ひっそりと悲しんでいた彼は、目を見開いた。
彼女は泣いて、微笑んで、言葉を続ける。

「世界中の誰もがお前を認めなくても。俺様にとって、今宵までのお前は、確かにアウレオルスだった。
 俺様を愛し、俺様が愛し、……そんな男であったことに間違い無い」

世界中の人があなたを人間でないと認めても、私は人間だと反論する。

そう告げて、フィアンマは彼の存在が徐々に消えていくことを感知して。


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