過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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579: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/13(木) 21:44:12.14 ID:PusaXlv20

フィアンマは、暫くしゃくりあげるのを我慢していた。
誰も見ていないとはいえ、そんな風に泣くのは、あまりにも子供染みていて。
アウレオルス本人は死んでいないだろうとわかっていても、誰かがいなくなるのは悲しいことで。

「……、」

我慢する。
声こそ我慢出来ているが、涙自体はなかなか止まらない。
おかしいなあ、とフィアンマは思う。
自分は世界二○億の頂点に立つ魔術師で、すごく強い人間の筈なのに。
アウレオルス本人と同様の魔術人形が壊れただけなのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。

「……」

ぐしぐし、と目元をこする。
ひとまず、旅館に戻れるのは自分だけだ。
彼がいなくなったことを行方不明事件として扱われれば大事になる。
言い訳するよりは誤認識を利用した術式を用いてしまうのが手っ取り早いだろう。
フィアンマは手探りで、灰の中からケルト十字のアクセサリーのようなものを手にする。
アウレオルス=ダミーの"核"を成していたもの。
既存の知識でも、きっと彼は"何度でも""自分でも"創造することは出来るだろう。
だが、しようとは思わない。また同じ思いはしたくない。それに、必要のないことだ。
彼女は静かに霊装十字<アクセサリー>へ軽く口づけてから、ひと思いに燃やした。

目下のところ、帰国したらこれだけはやっておこうと思う。

「あの野郎。ぶん殴ってやる」

右方のフィアンマにしては珍しく、暴力的な発言だった。


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