過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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587: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/06/13(木) 21:47:02.27 ID:PusaXlv20

「みえる」

彼女は、ぽつりと呟いた。
子供が初めてつかまり立ちを出来た時のように。
驚きと、嬉しさと、困惑と。
様々な感情が入り混じって言葉にならないのか、彼女は同じ言葉を呟いた。

「見える、」

アウレオルスの頬を、首を、手を、愛おしそうに撫でる。
手で確かめてきた感触がそのまま視覚にも認識されて。

「……見えるよ、アウレオルス」
「……、…」
「お前の姿が、きちんと、わかるよ、」

彼女の目が完全に見えるようになる確率は、一般人が宝くじに当たる確率よりも低かった。
与えられた奇跡に、彼女はただ、かつて神の子に悪霊から救われた女のように喜ぶ。
そろそろと腕が伸び、フィアンマはアウレオルスを抱きしめる。
彼の首元にすりついて、彼女にしては珍しく、子猫のように甘えながら言った。

「ありがとう、アウレオルス」

それは、かつて彼が見た夢と酷似した、幸福そうな笑顔だった。


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