過去ログ - フィアンマ「暗闇の世界から」アウレオルス「当然、救い出す」
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60: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/05/13(月) 21:34:07.08 ID:KJCCmY/B0

「俺様の夢は、」

彼女は手を伸ばし、アウレオルスの頬を撫でる。
華奢な指の感触に目を細める彼から少しズレた場所に、目を向けて。

「逃げ出す事だ。この、暗闇の世界から」

盲目であることだけは、諦めきれない。
目が見えるようになれば幸せになれると確定している訳ではない。
それでもアウレオルスと話していて、世界を見てみたいと思った。
十年程前のあの日と同じように、それ以上に、誰かが隣に居る世界を感じたいと。
若き錬金術師は、心から、憐れむべきこの少女を救いたいと思った。

「……まあ、医学的アプローチからでは、決して治せないと言われたがね」

物理を超越した奇跡でも起きなければ見えるようにはならない。

奇跡は自分の専売特許だというのに、と自嘲気味に笑って。
それから泣きそうになって手を引っ込める彼女の、その右手を。
アウレオルスは手をとり、彼女を見つめる。
たとえ視線が合わずとも、表情が伝わらずとも。
見据えられていることだけは判断出来、フィアンマは首を傾げる。
霊装としても機能する特別な右手を両手で優しく握り、彼は宣言した。

「約束しよう。君を、盲目の闇から」

はっきりと。
時間はかかれど見つかってはいる方法を、思い浮かべたままに。








「――――――当然、救い出す」


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