過去ログ - さやか「あたしが僕で僕があたしで」
↓ 1- 覧 板 20
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/11(土) 22:50:55.04 ID:flz/a+mq0
さやか「……それにしても、普通に歩けるのってなんだか久しぶりだな」
そういえばそうだった。
入れ替わったことが衝撃的過ぎて忘れてたけど、恭介は今、自分の意志で腕が動かせるようになってるんだ。
歩くのだって平気なんだ。
不思議というか、皮肉な話というか。
一生治らないと宣告されたその少し後には、もう動かせるようになってるんだから。
まあ、あたしの体だけど。
恭介「どんな感じ?」
さやか「うん、ちょっと懐かしい感じだよ。それに、腕が動くっていうのは、やっぱりいいよね……あっ、ごめん……つい嬉しくって……」
そっか、嬉しいんだ。
その言葉が聞けただけで、あたしは随分とほっとした。
何がどうなってこういう事態になったのかは分からないけど、あたしの体が恭介の役に立ってる。
それだけで、どこか嬉しくなった。
恭介「うぅん、いいの!あたしだったら腕の一本くらい動かなくても、どうってことないから!」
さやか「っ……あはは、そっか」
そして次の瞬間、すぐに血の気が引く。
さやか「じゃあ、僕はもう行くから。また明日ね」
恭介「う、うん……バイバイ」
扉が閉まるのと同時に、先程までのテンションはどこへやら、とんでもない罪悪感に襲われた。
よりによって恭介の体で、腕が動かなくて平気とか。
恭介「……馬鹿かあたしは」
一人になった部屋は静かで、思っていたよりもずっと広く思えた。
なんでこうなったのかとか、何であんなこと言ったのかとか、結局食事の時間まであたしは自問自答と自責を繰り返していた。
234Res/164.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。