過去ログ - 桃子「桃が咲くまで」春「春を待てない」【咲SS】
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26: ◆oeEeLVGR7U[saga]
2013/05/18(土) 23:27:12.89 ID:pWumFHLF0
-side まこ

-雀荘


「いらっしゃいませ」

多治比真佑子が空いている卓へ案内する

バイト先の雀荘
いつもの4人組のお客さんが入ってきたところだった

「フリードリンクは、いつものでええんか?」
「おう、よろしく」

常連ゆえ、それぞれ好みは把握している

「染谷さん凄いよね、私はまだ誰が何を飲むかとか覚えられないよ」
「実家が雀荘じゃったからの」

案内を終えた真佑子がそんな感想をもらした
卓の表情を覚えるのも、客の好みを覚えるのもさして変わりはない

「真佑子ちゃん、かつ丼運んで」
「了解です、マスター」

奥の厨房から声がかかった

この店の主人はもともとシェフをしていたので、料理はなかなかのもの
よく藤田先生が来るが、果たして麻雀をしに来ているのかかつ丼を食べに来ているのかよく分からない

「そういえば、まこは部活対抗戦に出るんだよね」

かつ丼を運び終わった真佑子がそう尋ねた

「ああ、そうじゃのう」
「私部活入ってないけど、結構助っ人頼まれてさ」

真佑子はこの雀荘にほぼ毎日入っている
なんでも、自分の生活費くらいは自分で稼ぎたいらしい。だから部活には入ってない
だからこそ、今回の助っ人制度によって一躍脚光を浴びることになった

「どこから頼まれたんじゃ?」
「一番早かったのは手芸部かな」
「荒川か、相変わらず顔が広いの」
「手芸部自体はとりあえず5人でメンバー足りてるんだけど、3年の霜崎先輩が生徒会で抜けるかもしれないから助っ人探してるんだって」

そんなことを言ったら生徒会長かかえとるウチもなかなか大変なんじゃろうけど、まあその辺は本人がなんとかするんだろうと楽観的に考えていた

真佑子は微笑む

「部活とか考えたこともなかったけど、こうやって誘われてみると、部活してもいいかなぁなんて思うよ」
「じゃあ、わしも文芸部の助っ人に来んかって頼んでみるか?」
「ん、まあギリギリまで考えるつもり。どうせ助っ人するなら、人数足りてないところを助けてあげたいかなって思うから」

去年のことを思う
久とわししかいなかったけれど、辛うじて名前だけ貸してくれた3年生がいてなんとか部活の体面は保つことができた

それが今年は、なんとか3人の新入生を確保できた…
久も張りきっとったし、いいところまで行けたらええがの

「おーい、注文頼むわー」
「はーい」

思考を遮るように客が手を上げ、真佑子がすぐに反応した

「何になさいますか?」
「かつ丼2つとカツカレー2つ。あと真佑子ちゃんの顔芸」
「ひぃっ…。って、何させるんですか!」
「真佑子ちゃんの恐怖におののく顔は何度見てもいい」

真佑子の表情に、卓を囲む4人全員が親指をグッと立てた
スマイル0円じゃあるまいに…

これ、有料にしたら稼げるんじゃないかとか考えてしまうわしは、ちょっとひねくれとるんかのう…


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