過去ログ - 桃子「桃が咲くまで」春「春を待てない」【咲SS】
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46: ◆oeEeLVGR7U[saga]
2013/05/25(土) 10:39:48.22 ID:nTckhAqq0

「じゃあ先輩が出てくれないのは、私が負担だから…」
「先輩?」

桃子が先輩と慕っているのは一人しかいない
昨日会った、加治木ゆみ

けれど、出てくれないとはなんだろう…

「出ないって、部活対抗戦?」
「そうっす。先輩は演劇に専念したいから対抗戦には出ないって言ったっす。でも本当は私が弱くて負担になるからなんじゃ…」
「…そんなことはないと思うけど」

演劇部員が何人で誰がいたかは正直よく覚えていない

それでも客観的に見て、加治木さんと桃子を比べて桃子が劣るとは思えない
相性もあるからどちらが強いとは一概には言えないけれど、それでも桃子の方が上ではないかと思う

だから、そんな理由ではないと思うのだけれど…
けれど、どんどん悪い方向へ考えてしまっているのか、桃子の表情はさっきよりもどんどん青ざめていった

「やっぱりそうっす…。それ以外考えられないっす」
「桃子、聞いてる?」
「おっはよーさん!」

教室の扉が勢いよく開いた
振り返ると、そこにいたのは泉だった

「お、数絵早いなぁ」
「…おはよう、泉」
「日直にしても早すぎんで、1番乗りやと思ったけど2番乗りやったな」
「いえ、3番乗りよ」

けれど、もう桃子はいなかった
果たしていないのか、それとも存在感が無いのか分からないけど…

さっきまで話していたのにちょっと振り返っただけで見失ってしまった
やっぱりこのステルスは凄いと思う。今来たばかりの泉はキョロキョロと教室を見まわした

「んー、誰もおらへんように見えるけど、桃子おるん?」
「さっきまでいたのだけれどね。それより泉も早いのね」
「ソフト部の朝練や」
「朝からご苦労様」

…やっぱり部活だなんて面倒なだけだと思ってしまう私は、団体行動には向いていないのだろう

ねえ穏乃、だから私なんて助っ人に入れてはいけないのよ

でも、あなたは諦めないのだろうけれど…
これから勧誘が続くのだろうと思うと、少し憂鬱になる

「桃子、私の言ったことなんて気にしてはダメよ」

そこにいるのかどうか分からないけれど、言わずにはいられなかった

私は加治木さんとは違うのだから
傍から見たって、あなたは十分に大切にされているはずだから…


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