過去ログ - 桃子「桃が咲くまで」春「春を待てない」【咲SS】
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50: ◆oeEeLVGR7U[saga]
2013/05/28(火) 23:17:10.67 ID:3fg0BOOz0
-side 春


「遅れるじぇぇぇぇ」

始業ギリギリで下駄箱に到着する
その途中、後ろから優希がダッシュして校舎内に入ってきた

「おう春ちゃん、おはようだじぇ。って、もうヤバイじぇ!?」
「まだ大丈夫。ここから歩いてもギリギリ間に合う」

春ちゃんがそう言うなら安心だじぇと言って、優希はカバンの中から紙袋を取り出した

「朝ごはんも食べれなかったの?」

取り出したのは案の定タコスだった
むしろそれ以外が出てきたらその方が驚きだけど…

「寝坊しちゃってな。でもタコスはいつでもどこでも食べられる万能栄養食だじぇ!」

そこまで賛美するのはどうかと思うけれど、まあ実害もないからそっとしておこう

2人して歩いていくと、ちょうど担任の瑞原先生が教室に向かうところだった

「おはよう。でも、ギリギリだぞ☆」
「おはようだじぇ!」
「…おはようございます」
「優希ちゃんは特に、ちゃんと朝ご飯食べてこないと大きくなれないぞ」

タコスを食べ歩いていた優希に注意する先生
ただ、先生ほどに大きくなる必要もないとは思うけれど…

3人で教室に入り、自分の席に着くとちょうど予鈴が鳴る
けれど、隣の席にいるべきはずのモモがいなかった

休みなんだろうか…

「それじゃあ出席を取るけど、みんないるよね?」

ちょっとくらいの遅刻なら誤魔化せる
私はモモを見つけられるけど、他の人はモモがわざと音を立てたりしないと気が付けない

いちいち確認するのも面倒になった瑞原先生は、私が黙っていればモモはいるという判断をするようになってしまっていた
そうしてホームルームが終わると、数絵が少し浮かない表情をして近寄ってきた

「春、桃子はそこにいる?」
「……いない」
「そう、やっぱり」

何かあったのかと問うと、朝に会話をしたのだけれどそれで落ち込ませてしまったらしい

「でもそれは、数絵は悪くない…」
「それでもね、私の言葉で傷つけてしまったようなものだから」

演劇部の先輩という人がどんな人かはよく知らないけれど、モモが唯一関わりを持とうとしている人物というのはモモ自身からも聞いていた

私は部活対抗戦には別に出ても出なくてもどちらでもいいから、誰かと出たいみたいな感覚はよくわからない
まあ、出たら出たで楽しいとかそんな感情も浮かぶのだろうけれど…

私から見えるのでなければ、モモはこの教室にいるのかいないのかすら誰にも分からない

いるけれど、いない
いないけれど、いるかもしれない

東横桃子という人間は、確かに存在しているのに…

「午前中は合同対局だからいないと困るんだけど」
「…どことだっけ?」
「5組と8組。第一対局室でね」

合同対局、基本的に同学年のいくつかのクラスが集まって対局する
いろんなクラスと戦うことになり、そこでの対局のデータはランク付けの参考にされる

プロを目指す人にとっては学年ランクはアピール材料になるから必死になるけど、私はプロになろうとは思ってない
モモも、きっとプロを目指しているわけじゃないのだろうから…

「最悪、途中で保健室に行ったって言えばいいか…」

良子に事情を説明すれば口裏は合わせてくれるだろう、たぶん


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