159: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/16(木) 23:58:15.34 ID:zRpkF4zAO
ボールはゆるい放物線を描き、ゆっくりとジャイアンへと接近してくる。
止まって見えるようだった。
ジャイアンは鉄パイプをしっかりと握りしめ、渾身の力を込めて振るった。
160: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/16(木) 23:58:49.67 ID:zRpkF4zAO
数秒の後、ポスッという乾いた音が響いた。
避難所の庭の片隅。
通用門の一歩手前だった。
161: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:00:20.80 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「良いか? バットはただブン回せば良いってモンじゃねぇんだよ。こう、腰の捻りをだなぁ」
少年達にスイングの指導をしながら、先ほど打ち上げたボールに目を向けた。
162: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:01:25.39 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「分かってる。後でちゃんと教えに戻ってくるから。今はちょっと待ってくれ。」
少年A「え〜? ホントにぃ?」
少年B「約束だかんね〜?」
163: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:06:14.13 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「ふふっ。優しいお兄さんって感じだったわよ。」
ジャイアン「そんなんじゃねぇよ。ただ、毎日すすり泣きしか聞こえてこないんじゃ気が滅入るからな。ああやって無邪気に笑ってられる奴らの相手してる方が落ち着くんだよ。」
ハンナ「そうね。子供の笑顔は復興の一番の活力になるわ。」
164: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:06:43.27 ID:Z02gmNmAO
―カラネス区 広場―
ハンナに案内され、ジャイアンはカラネス区の中央にある噴水の広場へとやって来た。
噴水の周囲にいくつもベンチが設置されている。
165: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:07:11.22 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「ん〜、直接聞いたりはしてねぇよ。けど、回りの会話を聞いてる内に少しは分かるようになってきたな。」
ハンナ「そう。じゃあ、〇〇兵団って言葉は分かる?」
ジャイアン「何となくな。調査兵団と駐屯兵団と・・・あと何だっけ?」
166: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:08:33.53 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「えぇ。でも、憲兵団は訓練成績の上位10名しか志願できないの。私はその10名に入れなかったから、後の二つしか選べない。」
ジャイアン「そうなのか。」
ハンナ「私ね、調査兵団に入ろうと思うの。」
167: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:09:16.45 ID:Z02gmNmAO
ジャイアンは言葉を失った。
回りの喧騒や噴水の水飛沫の音がパタリと聞こえなくなる。
時間が止まったようだ。
168: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:10:14.67 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「違うわ。確かに一瞬、自暴自棄になってこのまま巨人の口に飛び込んでやろうかって思った事もあったけど、今はまったくそんな事考えてない。」
ジャイアン「じゃあ・・・」
ハンナ「・・・・・・少し、私の話をしても良い?」
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