161: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:00:20.80 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「良いか? バットはただブン回せば良いってモンじゃねぇんだよ。こう、腰の捻りをだなぁ」
少年達にスイングの指導をしながら、先ほど打ち上げたボールに目を向けた。
162: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:01:25.39 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「分かってる。後でちゃんと教えに戻ってくるから。今はちょっと待ってくれ。」
少年A「え〜? ホントにぃ?」
少年B「約束だかんね〜?」
163: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:06:14.13 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「ふふっ。優しいお兄さんって感じだったわよ。」
ジャイアン「そんなんじゃねぇよ。ただ、毎日すすり泣きしか聞こえてこないんじゃ気が滅入るからな。ああやって無邪気に笑ってられる奴らの相手してる方が落ち着くんだよ。」
ハンナ「そうね。子供の笑顔は復興の一番の活力になるわ。」
164: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:06:43.27 ID:Z02gmNmAO
―カラネス区 広場―
ハンナに案内され、ジャイアンはカラネス区の中央にある噴水の広場へとやって来た。
噴水の周囲にいくつもベンチが設置されている。
165: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:07:11.22 ID:Z02gmNmAO
ジャイアン「ん〜、直接聞いたりはしてねぇよ。けど、回りの会話を聞いてる内に少しは分かるようになってきたな。」
ハンナ「そう。じゃあ、〇〇兵団って言葉は分かる?」
ジャイアン「何となくな。調査兵団と駐屯兵団と・・・あと何だっけ?」
166: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:08:33.53 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「えぇ。でも、憲兵団は訓練成績の上位10名しか志願できないの。私はその10名に入れなかったから、後の二つしか選べない。」
ジャイアン「そうなのか。」
ハンナ「私ね、調査兵団に入ろうと思うの。」
167: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:09:16.45 ID:Z02gmNmAO
ジャイアンは言葉を失った。
回りの喧騒や噴水の水飛沫の音がパタリと聞こえなくなる。
時間が止まったようだ。
168: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:10:14.67 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「違うわ。確かに一瞬、自暴自棄になってこのまま巨人の口に飛び込んでやろうかって思った事もあったけど、今はまったくそんな事考えてない。」
ジャイアン「じゃあ・・・」
ハンナ「・・・・・・少し、私の話をしても良い?」
169: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:11:22.08 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「訓練兵になったのも単なる世間体。5年も平和が続いたんならもう大型巨人なんて来ないんじゃないかって、割りと本気で思ってて。」
ハンナ「だから訓練を終えたら駐屯兵団でダラダラ過ごして、後は適当なタイミングでフランツと結婚して引退すれば良いや〜、それでフランツが憲兵に昇格にでもなれば御の字〜、なんてね。それぐらいにしか考えてなかったの。」
ハンナ「当然、二人とも調査兵団になるつもりなんて更々なかったわ。調査兵団を目指してる人を見て立派だって思う反面、ちょっと熱血すぎて付いてけないって冷めた目で見てたの。」
170: ◆51UnYd7yHM[saga]
2013/05/17(金) 00:12:02.32 ID:Z02gmNmAO
ハンナ「でも、先週のトロスト区の一件で考えが変わった。それはね、タケシくん。あなたのお陰でもあるの。」
ジャイアン「俺?」
ハンナ「えぇ。フランツは命懸けであなたを守った。あの消極的だったフランツが『兵士の誇り』なんて言葉まで口にしてね。」
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