過去ログ - モバP「幸子の見舞いに行くとするか」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/16(木) 02:22:11.26 ID:4Tq6pmkmo
 着替えているうちに外されたらしい、冷却シートの貼られていない幸子の額に手を置く。
 ぴくん、と幸子の体が強張る。じんわりと手のひらを伝う温度は高い。

「おい、熱だってまだあるじゃないか。それ貸せ、貼ってやるから」
「い、いいですよ、後で自分でやりますので」
「飯を食わせてやったんだ。それこそついでにやってやるよ」

 枕元に置いてある冷却シートの箱を取って、幸子に貼る準備をする。
 幸子は何が何でも貼られたくないらしい。両手でその熱っぽい額を覆っている。

「ほら、手をどかせって。何をそんなに嫌がってるんだよ」
「……これしてると、さすがのボクでもカワイくないですから」
「見た目を気にするのは治ってからにしろ、な?」

 それからというもの、不毛な攻防に数分ほど時間を割くことになる。
 腕力では勝っている。力に訴えれば攻略は赤子の手をひねるぐらいに容易い。
 だがそれを病気で弱っている相手にするのはいくらなんでも気が引けた。

 お互い譲らずにらみ合う。そうしているうちに馬鹿らしくなり、俺の根負けで幕引きとなった。
 しかし一度手に取ってしまうとどこかに貼らずにはいられない。

 額は固く守られているので、仕方なく頸動脈のある辺りへ適当に貼り付けてやると、
 予想だにしなかったのか「ひゃあっ!?」と悲鳴を上げた。
 勝者の貫禄はどこ吹く風だった。


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