過去ログ - モバP「お題でSS」
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56: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/05/17(金) 11:50:00.02 ID:AYYPALgf0

【裕美のお手伝い】

関裕美は、事務所にいた。

本当は、今日、休みなんだけれど。
でも…お世話になってるプロデューサーさんに、恩返し。
…それだけだった…つもりなんだけど、服も選んでた私が、そこにいた。

「おはようございます」

そう声をかけて入ると、プロデューサーさんが笑顔で迎えてくれた。
今日休みだろ、と言われて、なんとなく、って答えた。
ああ、こういうときに、上手く言えたなら。

「え、えっと…何か、できることとか」

『あ…手伝いに来てくれたのか?』

「は、はい」

えっと、じゃあ。そう前置きして、彼は私に指示を出した。
書類の整理だったり、今度の企画のアドバイスとか。
私が口を出していいのか、ってものさえ。

「こういうのって、私が意見を言っていいのかな」

『いいに決まってる。裕美、センスいいからな』

そう笑顔で言われて、ふっと吹き出してしまった。
おかしくなってしまって、彼から視線を逸らしていた。
…1日中事務所でこんなことしてるんだ、なんて驚いたり。

「じゃあ…私。そろそろ、帰る」

もう、これ以上は仕事はなさそうだった。
なら…残念だけど、私のできることはこれで終わり。
あとは、また明日から、いつもと変わらない日常が始まるだけ。

「また、明日」

『ああ、待ってくれ。この後、暇かな』

「え?ひ、暇だけど…」

『なら、ご飯でも食べに行こう。お腹すいちゃってさ』

『今日のお礼も兼ねて、だ』

「そ、そんなつもりで来たんじゃなくて…」

『いいんだ。俺が、裕美と行きたいんだ』

『ダメか?』

「………」

返事の代わりに、私はプロデューサーさんの手をとった。
口元だけで笑ってくれる顔を、ちらりと見て。
私はその手に、少しだけ力を込めて。

夕焼けの中を、歩き出した。

                    おわり



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