過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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190:1[saga ]
2013/05/31(金) 21:29:03.77 ID:7L1kS3O30

「ガハッ！！」

　杏子の口から押し出された腹の中身とどす黒い血が勢いよく吐き出された。
喉が焼けるように熱い。
すでに体の感覚はない。神経が切れたようだ。

　言いようのない脱力感が杏子を襲い、その体は重力に従ってずり落ち、塀に背を預けて地面に座り込むような形になってしまう。

　真っ赤なボロ布のようになった杏子は、弱々しくマミを見上げる。

　吸血鬼は、さっきまで杏子が立っていたところに居た。
その片方の拳が、杏子の腹を殴りつけ、背後にあった塀まで彼女の体を突き飛ばしたのだ。
その顔には、何の表情も浮かんでいない。

　終わりだ。何もかも、終わりだ。

　杏子は負けた。敗北した。

　それによって、恭介が助かる見込みはなくなった。
さやかの希望は守られなくなってしまった。
マミはさらに罪を重ねることになってしまった。

　いや、元々そんな可能性などなかったのだ。
幻惑魔法を使えたからと言って、マミを騙すのはまず無理だった。
そんなものに賭けたことそれ自体が杏子の敗因だったのだ。
自分で最初に思った通り、言葉を投げかける仕掛けの選択肢はなくて、マミが壊れて話し合いが
できなくなった時点で杏子の負けは決定していた。
結局、どうあがいてもこうなるほかになかったのだ。

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