過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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225:1[saga ]
2013/06/05(水) 22:01:01.24 ID:ySNbxrWU0

　そうか。そういうことか。

　その気持ちを何となく察した杏子は、ゆっくりと首を振る。

「いいんだ。マミの奴は、アタシに任せてほしいんだ」

　ゆっくりと、優しく言い聞かせるように言う。
それでもほむらは不安気に瞳を揺らし、目で必死に杏子を思い留まらせようとしていた。
その視線にたおやかな弧を口元に浮かべると杏子は正面へと視線を戻し、こちらに背を向けてマミを
睨み下ろしている咲夜の背中に声をかけた。

「なあ、アンタ。ソイツの止めは、アタシが刺す。だから、譲ってくれ……」

　杏子はほむらの手を振りほどき、魔法で手元に槍を生み出し、それを支えに歩き出す。

　まだ腹の傷はふさがっていない。
回復力の高いさやかならすぐに終わるだろう治癒も、杏子は不得意だった。
特に、これくらいの傷だと治すのに相当の時間と魔力を消費する。

　今もそこから血が流れ出していて、杏子はひどい貧血状態だった。
よくこんな状態で幻惑魔法を使おうなんてしたものだと、自分のことながら呆れ果てる。

　ただ、それでもやりたいことがあった。

「頼むよ。ソイツはアタシの師匠だったんだ。マミは……マミさんは…………アタシの、憧れだったんだ」

　カツ、カツ、と槍を突き、亀のように進む。

　その間にも、徐々に回復してきたのか、上半身の傷が消えていったマミが上体を起こした。
ただ、その左足はまだ血まみれで治らず、よくよく見れば右足の傷も深かった。
今の彼女はまともに立つことすらできないのだろう。
ただ、上目遣いに杏子を睨みあげ、牙をむいて獣のように唸り声をあげているだけ。

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