過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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324:1[saga ]
2013/06/12(水) 23:03:13.69 ID:vfACHmue0

　ちなみに文はそういうのが大好きだった。
何気ない仕草で浮かぶ筋肉の形。たまらない。

　天狗は色を好む妖怪。文もその例に漏れず、見た目に反して経験はいろいろと豊富だ。
ただ、とはいえ、文はあまり積極的に男の精を貪るタイプではない。
自覚は薄いが、男を喰らうより男に抱かれる方が良い。
従って、マッチョな肉体とか、包容力が現れていて大変好みだ。
筋骨隆々な腕やぶ厚い胸板に抱かれ、たくましい男の臭いに鼻腔を満たされ、彼の汗と自分の汗が混じり合って己の肌を湿らせ、野太い声に愛をささやかれたら、もうそれだけで幸福の絶頂に達してしまう。

　筋肉は好きである。自分を鍛えるのではなく、人の、男（をのこ）の筋肉が好きなのだ。

　盛り上がった大胸筋。割れた腹直筋。力強く首を支える僧帽筋に、がっしりとした肩を作る三角筋。そして、特に力を込めていないのに肘を曲げただけで力瘤ができるような上腕二頭筋。

　特に素晴らしいのが、腕のしかも肘から下のところ。
つまり、前腕。
腕を組んだ時、前腕の外側に浮かび上がる筋肉――尺側手根伸筋と総指伸筋及びその間の谷状の溝が一番いい。
ここはもう本当に、見てもよし、触れてもよし、味わっても良し。最高だ。
なので、綺麗な筋肉（特に尺側手根伸筋と総指伸筋）がついているこの店主は文のお気に入りだった。

　一瞬だけ彼の前腕に焦点を合わせる。

　あゝ、撫でまわしたい。

　そう思った途端。ドクンと脈打つ心臓。火照り出す頬。僅かに乱れる呼吸。

　そんなに暑くないのに肌はジワリと汗ばみ、背筋を痺れるような感覚が走り抜け、口の中には唾液があふれ出て来た。
胸の奥が締め付けられるような痛み。
乙女の儚い初恋のような痛み。
頬が上気し、目がとろけるような感覚。
文の体は素直に反応していた。

　ダメダメ！　集中しなさい。

　三大欲求のうちの二つが合体した衝動に、無意識に生理反応を示す己の肉体を抑え、興奮し出した交感神経に何とか言い聞かせる。
店主にばれないように、あくまで平静を装って文は取材を続けた。

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