過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga ]
2013/07/31(水) 19:45:57.89 ID:NdGPFEHe0

　ビクッと杏子は肩を震わせた。泣きそうな目で、眉が下がっている。

　そんな気弱な表情は、杏子らしくなかった。
きつめの釣り目も、今は力がない。勝気な表情も鳴りを潜めていた。
まるで親に怒られるのを怯えているような幼い少女のようで、いつも強気だった杏子がそんな表情をしているのが、
さやかには我慢ならなかった。

　何故なら、共にマミを救うと約束した杏子への信頼を、
そして先輩魔法少女として、肩を並べる戦友としての尊敬の気持ちを、

踏み躙るものだったから。

　信じていたのに、裏切られた！

　最早激情は留まることを知らない。
心の底から湧き上がる衝動に身を任せ、さやかは次々と杏子に毒を浴びせかける。

「やってみないと分かんないじゃん！！　
そんなの誰が決めたのよ。無理とか言って、勝手に諦めてんじゃないわよッッ！！」

　杏子は俯いた。どんな顔をしているのか分からないが、その姿はあの勝気で自信に溢れた佐倉杏子とは思えないほど弱々しい。
そこに立っているのはただの華奢な少女で、けれど、さやかは構わずに容赦のない言葉を叩き付ける。

　叱咤するのではなく、責めなじるために。

「あたしは、やる前から諦めるなんてしない」

「さやか…………、マミは、もう……アタシたちの手には、負えないんだよ。
それは、もう治癒の魔法を使っても、多分、出来ないんだ……」

　それはきっと、杏子の中でも納得がいっていないことなんだろう。
だから、こんなにも苦しそうに、血を吐くように言葉を絞り出しているんだ。

　それは分かった。

　分かって、それで、杏子が言っている内容も分かってしまって…………。

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