過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ -SS速報VIP

過去ログ - 魔法少女フラン☆マギカⅢ

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722:1[saga ]
2013/08/24(土) 23:11:27.79 ID:mM9umwv70
　見回すと、半ば本気のフランの皮肉に他の面々も緊張した面持ちになっていた。
後ろのまどかもそんな顔をしているだろう。
が、その中で一人だけ、全く違う表情を浮かべている。

　杏子の、あれは多節棍というのだろうか？　
鎖で繋がれた槍に縛られて動けないマミが、妙に恍惚とした表情でフランを見ていた。
見詰めていた。
凝視していた。
視線という名の、不可視のレーザーでフランを撃ち抜かんとしていた。

　酷い様ね。

　そのあまりに熱心な視線と、少しばかりショッキングなマミの状態に、フランは苦笑を浮かべる。
それだけで、マミがどれ程フランを求めているのか、どれ程狂ってしまっているのか、よく理解できた。
体が捻じれたままでフランを見ているマミの瞳の奥には、捨てられた子犬が助けを求めるような必死さがあった。
それがあまりにも不憫で、フランは奥歯を噛み締めた。

　元はと言えば、自分が引き起こした事態だった。
吸血鬼にしたこと、それ自体を否定はしない。
あの場で最善だったとは思わないが、全体としてみれば、マミにとって最も良い方法だっただろう。
魔法少女の運命を考えれば、吸血鬼の方がずっといい。

　けれど、最悪だったのはその後だ。
何しろ、フランも眷属を作るのは初めて。
作り方は本能的に知っていても、その後のフォローの仕方はまるで知らなかった。
数百年かけて作り上げた頭の書物庫にも、最適解はなかった。
だから、フランは間違ってしまった。
間違って、マミを傷つけ、マミに傷つけられ、結局お互いこんなになるまで苦しんだ。

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