過去ログ - 長谷川千雨「鳴護アリサ、って知ってるか?」
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914:ちさめンデュ ◆nkKJ/9pPTs[saga]
2013/10/21(月) 15:25:40.43 ID:fhZE1mmE0
>>913

「…だまりおし…」

その、透き通っていながら重みのある声に、一同息を呑む。

「………ぎゃあぎゃあやかましいわ………」

声だけは素晴らしく典雅で優しかった。
土御門と刹那の脳内では、「はい」と一言だけ告げて即座に正座していた。
のどかは何か前世の因縁の如く震え上がっているが、
別に八岐大蛇を背景に薙刀を振りかぶっている訳ではない。

「命を懸けて守る?てんごも大概にしとき」
「………な、に?………」

本当ならば殴っていただろう、例え近衛の姫であっても。
それを押し止めたのは、重傷を負っていた事でも、目の前の少女の肩書きでもない。
それは、彼女の肩書きではなく彼女自身が本物の近衛の姫だったから。

「自分、守る言うて一番大切なモンに何背負わせる気ぃや。
守られる重みも知らず心も護らず何をさえずる。
認めん。うちの目の前で、うちの目ぇの黒い内は、
近衛木乃香が認めん。この身に替えて誰が認めるかっ!!」

その時、ごぷっと咳き込んだ木乃香の唇の端から、
その絹の如き頬につーっと赤いものが溢れる。

「お、いっ」
「藤原朝臣近衛木乃香能」
「分かりますよね。例えどれだけの大魔法使いでも、あれだけの大規模魔法。
完成前に自滅させないために、ほんの僅かな時間でも我が身に留めたまま中断すると言う事が。
これでダダ捏ねるなら地獄の底まで追い込みますよ」

刹那がギラリと覗かせた夕凪の刃の威力は、
死にたがってる重傷患者等という理屈を完全に超越していた。

「いくむすびをうづのみてぐらにの
そなへたてまつることをもろもろきこしめせ」

それは優しく、温かく、
言葉を失わせ魂をも抜き取ろうと言う、
そんな圧倒的な光だった。


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