過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 06:39:28.09 ID:yZQiXNHbo

 男は何の前触れもなく立ち止まった。わたしも立ち止まって距離を取った。
 それから彼は、わたしの方を振り返る。

 射抜くような視線に、わたしは目を逸らした。
 彼が例の空き巣で、下界の人間が言っていた人影なんだろうか。
 疲れ切ったような顔をしている。ひどく、頼りなく見えた。

「覚えていないな?」と彼は言った。

「……何を?」とわたしは訊ねた。
 
 彼はライターの灯りを消した。わたしは何かをするつもりなのかと思い、身構える。 
 でも、何も起こらなかった。深い暗闇が帳のように降りてきただけだった。




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