過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/18(土) 08:07:37.82 ID:0FhXK3hqo

 屋敷で生活していると、ときどき無性に寂しいような、悲しいような気持ちに襲われることがある。
 なぜなのかは分からない。いったい何がそうさせるんだろう。

 シラユキが作ってくれる食事はとても美味しい。
 ベッドだって、服の替えだってたくさんある。生活には何ひとつ不自由していない。
 眠りたいときに眠ればいいし、食べ物だって食べたいだけ食べられる。
 
 わたしはこの屋敷以外の世界を知らない。 
 だからどれだけ本を読んでも、書いてあることのほとんどがよく分からない。
 実感を伴って迫ってこないのだ。写真でしか見たことのないものがたくさんある。

 たぶん、取り残されているのだと思う。わたしは、この屋敷は、この街は、取り残されているんだ。
 でも、いったい何から取り残されているというんだろう。
 
 世界にはこの街しか存在しないのに。この街が、世界のすべてなのに。
 わたしは、それ以外の世界を知らないはずなのに。
 それ以上のことを考えようとすると、頭が、どうしようもなく、軋むように痛んだ。





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