186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/29(水) 06:58:16.93 ID:wqPpjqSYo
◇
ある日、わたしが部屋で本を読んでいると、不意にノックの音が聞こえた。
「どうぞ」
部屋に入ってきたのはツキだった。疲れ切ったような顔をしていた。
「何を読んでる?」
彼は、ベッドに横になって本を読むわたしを見て、そう訊ねてきた。
わたしは口にするのが億劫だったので、読むのを中断して彼にタイトルを見えた。
「人類が消えた世界」だった。
「面白いか?」
「そこそこ」
「どんなところが?」
「現実的じゃないことに、現実的に迫ってるところ」
彼が一瞬表情をこわばらせたので、わたしは戸惑った。でも一瞬のことだ。彼はすぐ、持ち直すように笑った。
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