224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/31(金) 07:16:16.86 ID:R3N8s+H6o
「シラユキ、俺はもう駄目かも知れないよ」
震えた声でツキは言う。
「あっちにいたときのことをどんどん忘れていくんだ。ここにいると不安でたまらなくなる。
いろんなものが俺を取り残して進んでいっているのを、肌で感じるんだ。
そう長い時間、耐えられそうにない。俺はきっと、近いうちアヤメを見捨てるよ。そうなったら……」
そうなったら、と彼は繰り返す。
「そうなったら、俺は何をしにここに来たんだ? わざわざ自分の手で、とどめを刺す為に来たのか?」
泣き出しそうな声のツキに、シラユキは何も言わなかった。
考えなくては、とわたしは思う。何を? 分からない。何を考えればいい?
『あなたはそこに居ていいんだよ』と、声がもう一度言った気がした。
『だってそこ以外にあなたに居場所なんてないから』。
その声は、本当に優しげに聞こえたのだ。
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