276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/04(火) 07:40:10.06 ID:10ecUgk1o
◇
「猫は長い間ツキの家で飼われていた。
わたしはその子のことが好きだったし、ツキだってその子のことが好きだった。
でも、死んだ。四年か、五年経った頃だったと思う。
季節は秋で、よく晴れた日だったことを覚えてる。車に轢かれて、ひどい姿だった」
連鎖するように、記憶が次々と浮かび上がってくる。
ツキのこと。シラユキのこと。それから自分のこと。
わたしが何かを言いかけるより先に、シラユキは口を開いた。
「もし、わたしがその猫の死後の姿なのではないかと、あなたが考えているとしたら、それは誤りです」
彼女はわたしの考えを、あっさりと否定する。
何の躊躇もなさそうに、はっきりと。
不思議と驚きはなかった。いや、不思議でもなんでもない。
いくら死んだあとだからといって、どうして猫が人の形になったりするだろう。
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