過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/04(火) 07:45:25.19 ID:10ecUgk1o

「そうして、あなたは死にました」とシラユキは言った。

 他人事のようなニュアンス。そのことが、むしろ事実を際立たせていた。
 
「激しく風雨の吹き荒ぶ、嵐の夜のことでした。
 暗い夜の中、いつも通っていた橋の下の河は、とぐろを巻いた巨大な黒い蛇のように見えました。
 それから先は、わたしが言わなくても感覚が覚えているでしょう」

 沈黙の隙間を、雨音が縫うように埋めた。
 わたしは何を言えばよかったんだろう。

 自分の死の顛末に、感想のひとつでも寄せればよかったのだろうか。
 視野狭窄だった、とか、周りに相談するべきだった、とか、父親は何をしていたんだ、とか。
 そんな間抜けな感想のひとつでも、付け加えればよかっただろうか?
 
 何も言えることなんてなかった。
 


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