過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/06(木) 06:33:27.16 ID:4Z+Lx22no

 そう思うことに、どことなく抵抗もあった。理屈が合わなくなってしまう不安。
 でも、それどころじゃない。彼はこんなところにいてはいけないのだ。

 ツキの両親は、彼が死んだらきっと悲しむ。
 わたしのために、彼らにそんな顔をさせるわけにはいかない。

 理屈なんてどうでもいい。わたしは、彼が現実に帰る手助けをしなければならないのだ。

 わたしは部屋をあとにして、屋敷の中でシラユキの姿を探した。
 二階にはいなかった。階段を下りて一階を目指す。

 シラユキは厨房にいた。そうだ。わたしたちは朝食だってとっていない。
 ここは現実ではないけれど、ひとつの世界だ。
 お腹だって空くし眠くだってなる。現実感に乏しいなんて嘘っぱちだ。

 ツキだってきっとお腹を空かしている。
 雨に打たれて寒い思いをしているかもしれない。
 そんな思いをしていい人じゃない。

 彼はわたしとは違うのだ。




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