325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 05:58:38.83 ID:UQU3TNtlo
◇
引き伸ばされた棺の中を延々と歩いているような、そんな気分だった。
黴の匂いが湿った空気に混じり、わたしを不安にさせる。
石造りの通路は、そっけないような冷たさで満ちていた。
ありとあらゆる温かみが存在しない、何もかもから隔絶されているかのような空気。
それも当然のことだろう。
天井の隅では大きな蜘蛛の巣が埃をかぶっていた。
この場所にも蜘蛛がいるのだと思い、わたしは少し怖くなる。
以前来た時に、そんなものを見ただろうか?
考えたけれど、よく思い出せない。あのときはツキを警戒するので精一杯だった。
今はそのツキをどうにかするために歩いているのだから、考えてみれば不思議な話だ。
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