335:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/07(金) 06:12:24.03 ID:UQU3TNtlo
通路を戻り、右の壁に沿って進む。わたしはさっきの部屋のことを忘れることにした。
ここまでの通路に、迷うような部分はなかった。
ただ鼠と蜘蛛の気配があるだけだ。
それからしばらく、道は別れず、まっすぐと進んでいく。
わたしは長い時間、何も考えずに黙々と歩き続けた。
本当に長い間だった。途中で時間の流れが分からなくなった。
ここを彷徨っている間に、世界が終わったと言われても信じられるほど長い時間に、わたしには思えた。
やがて通路の雰囲気が変わってきた。
無愛想だった石の壁の両側に、額縁が飾られている。
最初に見えた額縁の中は真っ黒だった。
次は白。その次はまた黒。それが延々と続いていく。通路の続く限り。
ふと振り返ると、見えるかぎりの壁に額縁が飾られている。わたしは言葉を失った。
何も言わずに進む。ずっと進む。何も考えなかった。ツキのことすら考えなかった。
わたしはここに来るべきではなかったのだ、とふと思った。
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