349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:21:48.42 ID:Onzl2ZvFo
ふと、何かが草を掻き分けるような音が聞こえた。
咄嗟のことに身が竦む。音は近付いてきていた。
心臓がどくりと跳ねる。
草の間から顔を出したそれは、大儀そうに首を振って、わたしと目を合わせた。
わたしは最初、それをウサギかと思った。でも違う。どうしてウサギと見間違えたりしたんだろう。
それは猫だった。白っぽい毛並みの猫。雨に濡れて小さく見える。
どうして、ここに猫がいたりするんだろう。
わたしは疑問を抱きつつも、物音の正体がこの小動物だったことに安堵した。
それから溜め息をついて、わたしにもまだ心臓はあったのだなと思った。
どくどくと脈を打っている。
体には血が流れている。わたしはちゃんと呼吸だってしている。一応生きてはいるのだ。
わたしはまだ死んでいない。じゃあ、わたしの身体はどうなっているんだろう?
現実における、わたしの身体は。まだ生きているんだろうか? そうでなくては、戻れはしないだろうけれど。
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