363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 07:08:43.16 ID:Z1eyICRMo
「それで、俺が逃げてるとしたら、お前は何しに来たんだ?」
ツキは皮肉っぽく唇を歪める。
わたしは段々不安になってきた。
「シラユキに、教えてもらった。この世界のこと」
少し驚いたような顔をしたあと、「それで?」と彼は続きを促す。
シラユキとの、裁判みたいなやりとりを思い出す。もうずいぶん前のことに思えた。
「あなたのことも、少しだけど思い出した」
「へえ。たとえばどんなことを?」
「飼っていた猫のこととか、学校の帰り道のこととか……そういうことを」
「そうか。それは嬉しいな」と、彼はたいして嬉しくもなさそうに言った。
「ツキ?」
思わず名を呼びかけると、彼は忘れていた傷口が痛んだというふうに顔を歪める。
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。