過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:03:50.78 ID:CqJ5WJUIo

 その人がわたしの目を盗み、この部屋にやってきて、再びいなくなるのは簡単だったろう。

 森は四方に開けているから、隠れるのは困難ではない。
 書庫は本棚がたくさんあるから、身を隠すのは簡単だ。

 疑問はいくつかある。

 なぜ隠れたのか。
 なぜ、隠れたにも関わらず、自分の存在を誇示するように火をつけたのか。
 自分の存在を誇示するように火をつけたにも関わらず、なぜ、姿を見せないのか。

 ひょっとしたらその人は、隠れたつもりもなかったのかもしれない。

 わたしが再びここに来るとき、灯りを持っていなかったから、通路は真っ暗だった。
 その人は、わたしと平然とすれ違い、井戸の方へと抜けて行ったのかもしれない。

 まるで悪戯でもするように、簡単そうに。




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