402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/11(火) 08:12:19.49 ID:CqJ5WJUIo
「さて、それじゃ、話をしようか」
「話すことなんてない」
「……そうもいかないって。わたしたちにとって最悪の事態は、このまま時間切れになってしまうことなんだよ」
分かってるでしょう、と彼女は言う。でも分からなかったし、分かりたくもなかった。
そんな自分の感情の高ぶりが、彼女の言葉を肯定しているのと同じことなのだろう。
「あなたも、わたしも、選ばないといけない。はっきりとした答えを。ううん。選ぶべきだと思う、かな。
……そうじゃないかもしれない。選んでほしい、かもしれない」
彼女は寂しそうな声でそう言った。わたしは暗闇の中、じっとうつむいて椅子に座っている。
誰も彼もがそんな声でわたしに話しかける。憐れむように、懇願するように。
「ツキは、下界の人たちに捕まったよ」
と彼女は言った。わたしはぎくりとする。
何かを試そうとするように、彼女は続けた。
「どうしようか。それを、決めないとね」
わたしはまた、何も言えなくなった。
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