425:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 06:59:51.32 ID:gz5u5IpNo
蝋燭の灯りを頼りに、わたしは急いで屋敷への通路を辿る。
運動はあまり得意じゃない。走るのは苦手だった。
ずっと昔、現実の学校で、体育の授業のとき、走り方が変だってバカにされたことがあった。
今でも覚えている。先生も一緒になって笑っていたっけ。
でも、自分じゃ何がおかしいのか、分からなかった。指摘してくれる人もいなかった。
だからわたしは、次の授業から走らなくなった。笑われるのは嫌だった。
そしてわたしが走らないでいると、先生はわたしを叱った。
言い聞かせるみたいな優しい声を作って訊ねた。どうして走らないの、と。
「笑われるから」とわたしは答えた。先生は困ったような顔をして、笑わないから走りなさい、と言った。
でもわたしは走らなかった。叱られても宥められても、わたしは走らなかった。
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