463:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/15(土) 07:04:01.71 ID:x3h76RAXo
輪の中心の地面は大きな円形に高く盛り上がっている。
ちょうど人々の胸のあたりの高さで、奥から昇るための階段があるらしい。
その中央には、背の高い男性二人に捕らえられた、ツキの姿が見えた。
ツキの表情はここからでは見えない。
衝動なのか、予感なのか、よく分からない何かに、体が支配される。
彼はちゃんと立っているのに、わたしは既に彼が死んでいるような錯覚に陥った。
わたしは思わず、呟いていた。
「ツキ」
わたしが声を出したその瞬間、それまで壇上に注目していた人々が、一人残らずわたしを見た。
死体のような表情。影のような存在感のなさ。その顔のひとつひとつが、目を見開いてわたしを見る。
一瞬の出来事。薄ら寒さに、身が震えた。自分が何か、してはいけないことをしてしまったような気がした。
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