過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
1- 20
491:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 07:48:24.23 ID:2Yrmim71o

 真っ先に声をあげたのは、少し離れた位置にいた村長だった。

「捕えろ!」

 という彼の叫びに、

「動けばこの女を撃つ」

 ツキは大きな声で答えた。その声は笑っているように聞こえた。
 わたしは背筋が凍るのを感じた。彼は村長の顔を見て続ける。

「嘘だと思っているな? でも俺は撃つ。お前らに捕まりそうになったら撃つ。
 お前らに捕まったら、俺は死んだも同然だからな。だとすれば、この女を撃ったって同じことだ」

 その声を聞いて、村人たちは動くのをやめた。誰もなにもできなかった。
 わたしは冷たい汗が流れるのを感じる。状況の変化に、ついていけない。

「そう心配するなよ。あんたらのたくらみを邪魔しようと思っているわけじゃない。 
 ただ、俺らは抜けさせてもらうだけだ。かまわないだろう?」

 広場を沈黙が支配した。誰もなにも言わなかった。
 雨の音が降り続いている。

 何か決定的なことが起こったのだと、わたしは遅れて気付いた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice