過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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496:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/17(月) 07:00:27.54 ID:IMrWsM59o

「出口はどこだ?」

 と彼は言った。

「手を離して」

「こんな世界、さっさと出るぞ」

「……離してってば!」

 まるで予想外の力に押しのけられたみたいに、ツキはわたしの手を離した。
 彼は古傷が痛んだような顔をする。実際に痛んだわけではないはずだ。
 わたしは彼に何もしていないんだから。

「……追手がすぐに来る。ここを離れよう」

 なおも、ツキは言う。わたしは彼に、はっきりとした敵意を抱いた。
 
「あなただけが行けばいい」

 とわたしは言った。声が震えている。怒りからだろうか。悲しみからだろうか。




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