53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/21(火) 07:18:32.71 ID:0/iJLpbGo
ひんやりとした冷たい空気と、宿命的なカビの匂い。
林立する本棚の隙間を縫うように歩く。
書庫はあまりに広い。ひとひとり隠れていたって、わたしはきっと気付かないだろう。
地下では影が大きい。
電気はここまで届いていたし、灯りだって少なくはない。
でも、影が大きいのだ。たぶん外と同じ明るさにできたって、その事実は変わらない気がする。
それを言えばこの街だって、ずっと薄暗いままなのだけれど。
……わたしはこの街の明るさを、他の何処と比較しているんだろう。
読みたい本は既に部屋に持って行ってしまったから、書庫でやることはなかった。
新しい本を探すこともできたけれど、どちらにしても読む気はしないのだ。
わたしは入口からずっと奥へと進み、突き当りの壁の傍に置かれた、木製の椅子に腰かけた。
簡素な机が置かれていて、ここでも読書ができるようになっている。
といっても、地下は居心地が悪いから、あまりここで本を読むことはないのだけれど。
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