563:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/22(土) 04:03:37.39 ID:CnjYFZl7o
やがて、わたしたちの前に泉が現れた。
ツキは苦しそうにしていたが、意識ははっきりとしているようだ。
彼は長い間、一言も言葉を発していない。
わたしは何を望んでいるんだろう。
何かを期待しているんだろうか?
ひょっとしたら、誰かがわたしに何かを言ってくれるんじゃないか、というようなことを?
でも、それは起こりそうもなかった。泉の中に、シラユキは足を踏み入れる。
雨の波紋に歪みながら、水面はわたしの顔を映した。
わたしはその姿を掻き分けるように、シラユキのあとを追う。
水面に映る自分の姿に、特別恐れを抱くことはなかったし、何か記憶がつつかれるようなこともなかった。
わたしはちゃんと自分のことを思い出している。自分のことをちゃんとつかめている。
今、わたしは何の邪魔立てもなく、わたし自身を理解できている。
何とも言いようがない空虚さが、わたしをとらえている。
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