609:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:19:00.16 ID:tPA7g4lio
開けろ、とわたしは思った。
開けるんだ。そうすることでしか始まらない。
それは少し、怖いことでもあった。
でも、仕方ない。声が聞こえたような気がしたのだ。
たしかめてみないといけない。
わたしは瞼を開けた。
最初に目に入ったのは、薄い膜のような光だった。
月明かりだ、と、わたしは思った。
月の灯りが、嵐の夜をかすかに照らしていた。空は厚い雲に覆われていて、星すらもほとんど見えない。
それでも月の光は、暗闇を暗闇ではないものに変えていた。
風が強く、雨はそのときどきによって落ちる方向を変えた。
しばらく静かに降り続いていたかと思うと、突然横殴りの雨になったり、飛沫が跳ねるように吹き上がったりもした。
でも、雨は雨だった。わたしは全身の痛みと重さに呻く。
それからすぐに、わたしの頭上を覆っていたものの正体に気付いた。
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