621:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:34:00.02 ID:tPA7g4lio
◇
気象予報士の言い分に反して、雨は十時過ぎに上がった。
灰色の雲は空から消えて、青空が顔を出した。
太陽の光は少し頼りなかったけれど、それでもしっかりと街を照らしていた。
外に出てから、そういえば、目的地を聞くのを忘れていたな、と思い出した。
でもまあいいか、と思う。そういうことを気にしすぎていても始まらない。
虹を見つけて声をあげると、彼はおかしそうに笑った。
わたしは不服に思って抗議した。
「どうして笑うの?」
「虹を見てはしゃぐような奴だったっけ?」
彼は心底おかしそうに笑った。
失礼な話だ。わたしにだって虹を見上げて喜ぶくらいの感性はある。
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