12:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/05/22(水) 02:54:20.01 ID:PfMthyZw0
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さようなら、またね、バイバイ、彼女は別れの言葉という言葉を一切言わない、
これは今気付いたことなので余り確証も何もないのだが。
いや、流石に一度もという事は無いだろう、それは無かった筈だ、多分、これもまた、確証が無い、確かじゃない。
逆に考えてしまうと、逆に言うと、不自由帳には挨拶の事に関しては厳しく、
それこそ一つ残らず、一つたりとも取り残らず、あの自由帳に書かれていたはずだ。
それを考えると、やはり彼女は、あの不自由帳から、解放されつつあるのではないか?それは喜ぶべき事なのだろう、
どう考えても異質なものより普通であった方がいい、普通で、何ら変わりなく、人生を過ごせるのなら、断然そちらの方がいい。
きっと彼女にとってはそれが一番なのだろう。
また話が逸れてしまった、修正しよう、
僕と誘の関係を、遡る事一年前、担当が変わったあの時、あの瞬間、取り敢えず、まずはそこから話を始めよう――
十一年前、僕は十年ぶりに彼女に会った、少女U・Uはその面影を残して、とても綺麗に、なっていた。
「こんにちは。私は夕暮誘と言います」
「先生の作品を、子供の頃からずっと愛読していました。こうしてお会いできて、とっても嬉しいです。これからよろしくお願いします。」
「楽しいお話を、たくさん聞かせてくださいね」
そう、彼女は丁寧に、懇切丁寧に、挨拶をした、
ああ、何と返そうか、久し振り?――いや、こんにちは?――いや、意表をついてこんばんわとでも?――否、
「初めまして」
と、僕は夕暮誘に、挨拶をした。
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