過去ログ - 少女不満足
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27:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/05/28(火) 02:30:52.55 ID:sjTsxvqj0

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僕は職業柄、よく地方の取材に行くことが多い、北は北海道、南は沖縄というまで幅広くと言うまでは無かったけれど、

約三日間、移動時間を含め一週間足らずと言った所か。

今回向かうのは東北地方、とだけ言っておこう、

そこもまた暈さなければ、何処かで迷惑をかけてしまうための僕なりの配慮である。

「柿本先生!この季節にまだ雪が降っていますよ!」

やはり、若いとは良いものである、そう思ってしまったら負けだろうか、

僕も歳を取ったという事だ、十一年間、僕は変わる事が無くとも、歳だけは一丁前に取っているのだから笑えない、

最早清々しいと思えるのかもしれないが、未だ僕はその境地には立ってはいない。

しかし、誘を待たせる訳には行かないだろう、

先程から律儀に僕を待つ彼女の身体は、少しばかり震えている、温度差には流石の若さも勝てないという事か。

その姿には僕からしてみれば子犬のようであり、とても愛らしいものがそこにはあったが、

その時の僕にはさほどそうも思えなかった、

と書いてしまうと、

「先生にはそういうものを感じる感性が無いのですね」

と貶されてしまうやもしれないが、これには理由がある。

これは実に単純で、誘に耐えられなかった寒さに僕が打ち勝つこともできず、

そういう余裕が僕にはなかっただけである。

雪は綺麗だった。

「先生……私でも寒いのは分かりますけれど、早く来ないともっと寒いですよー」

さて、これ以上待たせるのも誘に悪い、早くに行こう。時間も少ないのだ。



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