34:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/06/01(土) 05:24:55.18 ID:HdM2A+EL0
17
僕としてはゆっくりと眠っている誘を起こさないようにと配慮したつもりだったのだが、
どうやら誘は現地にも行ってみたかったらしく、僕が帰ってくる頃には不機嫌そうな、
どころか明らかに不機嫌な誘が居座っていた、
(所がのちに話を聞いてみると取材よりも現地の特産品の方が目当てだったらしい、どういう特産品かは伏せておくが
僕はあんなものを口に入れたくはない、どうやら誘の健啖家っぷりは現在でもいかんなく発揮されるらしい)
そんな事を話すと、
「柿本先生は苦手なものが多すぎるんですよ、もっとちゃんと好き嫌いしないようにしましょうよ」
大人なんですから。子供に示しがつかない、とまで言われてしまった。
別に僕に子供に見せる事の出来る示しなんてものは特別にこれといっては無いので特に困りもしないのだが。
それに僕としては嫌いなものがあるのは普通の事なのだ、苦手であろうと嫌いであろうと。それが普通だと思う。
苦手だからこそ見えるものだってあるだろうし、勿論そんなものは屁理屈であり、
自分を正当化したいという思惑が見え見えなので、僕は何も言うまい。
説教と愚痴のようなものを聞かされているとすすり泣く様な音が聞こえてくる、
誘がいきなり泣き始めたのだ、僕は何も言っていないというのにだ、如何にもという具合に僕は挙動不審になり、
旅館の人でも見ていたら即座にでも警察が呼ばれるのではないかという気がして気が気でなかったが、(この時は、
確か午後六時から七時の間だったと思う、夕食の設定を多少遅らせておいてよかった、本当に)
そんな事は幸いにも起こらなかったようで、誘をあやす……というとこれまた誤解が生じるような気もするが、
とにかく、誘に近づくにつれ、僕は違和感を感じた。
僕が気付かなかったのも悪いが、どうやら彼女の背中に隠れて見えなかったらしい。
恐らく誘は、お酒を飲んでいた。ビールを一缶だけ。
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